取材協力:ナインゲート
軽快なアメリカンカフェレーサーに仕立てている僕の愛車「Rural Racer」。スタイリングを重視するために、フロントフォークを突き出して、車体を水平ラインにしているのだが、なんとデイトナから「ローダウンフロントスプリング」が発売されたという! これはもう、装着するしかないでしょう!!/SAGAYAN
オートバイらしいスタンダート然としたスタイリングはSRの魅力のひとつ。じつはSRはフロントがやや起き上がったスタイルになっていて、これによりリア荷重のいかにも70年代らしい挙動やバランスを生み出しているのだ。しかし、軽快なトラッカーやカフェレーサーにカスタムしようと思った場合、このフロントフォークの長さがじつに微妙……。そこで定番の手法となっているのが、フロントフォークの突き出し。実際にRural Racerも1.5cm突き出すことで、フロントを落とし、車体シルエットを整えているのだ。だけど、欲をいえばRural Racerに関しては本当は3cmくらい突き出したかった。それが、93年まで採用されているセミエアフォークのエアバルブがハンドルに干渉して、そこまで落とすことができなかったのである。
そこに登場したのが、デイトナ・ローダウンフロントスプリングである。
適合は85年以降のSR400/500で、気になるローダウン量は01年以降は25mm、そして00年以前はなんと30mm!! デイトナは僕の不満を知った上で開発したのだろうか? なんてことを思ってしまうほどのドンピシャ! 早速、東京都東久留米市にあるナインゲートに持ち込んで交換してもらった。
おなじみ、僕の愛車1号「Rural Racer」。我ながら見事なシルエットです。車両製作は、神奈川県座間市にあるM&M’sモーターサイクルズ。
絶妙なシルエットを生み出す秘密が、フロントフォークの突き出し。だけど本音を言えば、トップブリッジにピタッと収まっておいてほしいもの。
現状では約1.5cm突き出ている。本当はもうちょっとフロントを下げたいのだが、エアバルブが邪魔でコレが限界なのだ。
というわけでスタート! 作業はおなじみナインゲートの細井さんにお願いした。
手際よくフロントホイールを外す。じつは1月にフロントフォークのオーバーホールをM&M’sでお願いしたばかり。だからドラムブレーキ内もまだまだ綺麗!
アンダーブラケットボルトを緩める。まだ外しちゃダメで、緩めるだけ!
トップキャップは固いのでプライヤーを使用する。ここもまずは緩めるだけ。ちなみに現行モデルをはじめとした非セミエアフォーク車は、付属の六角ツールを使用する。
フォークの内側にあるドレンボルト(?)を抜く。
するとフォークフォイルがまあまあ勢いよく出てくる。オーバーホールしたてなので、オイルはまだまだ綺麗だった(もったいない……)。
オイルが抜けたら、トップブリッジ、アンダーブラケットのボルトをしっかり緩めて、フロントフォークを下から抜く。
トップキャップを取り外す。なかからワッシャーやカラーが飛び出すことがあるので、写真のように、手のひらでカバーするようにして外す。シャンパンの要領だ!
今回はオーバーホールしたばかりということで、フロントフォーク自体はバラさずに作業してもらうことに。まずはトレーの上で逆さにして、スプリングを抜く。オイルが出てくるので要注意。
インナーチューブをストロークさせ、中に残っているオイルを出しきる。
一応、フォークの中を確認。もし汚ければ分解するつもりだったが、やはり十分に綺麗なので、今回はこのまま作業を進める。
取り外したノーマルスプリング。
フォークオイルには、デイトナ・矢部さんオススメのMOTOREXレーシングフォークオイル15Wをチョイス。
まずは規定のオイル量をメスシリンダーに入れる。泡立たないようにゆっくりと。Rural Racerは93年式なので、185.5cc(片側/85〜93年)。ちなみに94〜00年は180ccで、01年以降は206ccだ。
フロントフォークにオイルを入れる。これも泡だないように慎重に入れよう。
インナーチューブをストロークさせてエア抜きをおこなう。クチュクチュという空気の音がしなくなるまで繰り返す。
フォークオイルの量は注入量ではなく、油面の高さで決めるのが基本! 油面調整ツールでオイル量の微調整をおこなう。85〜93年式はインナーチューブ先端より180mm、94〜00年式は191mmで、01年式以降は178mmだ。
DAYTONA
SR400/500用 ローダウンFフォークSPG(品番:95034)
9500円(税別)
メーカーHP:デイトナ
今回使用したのがコチラ! フロントを下げたいと思っているSR乗り必見のアイテムだ!
ローダウンスプリングをフロントフォークに入れる。スプリングの間隔が狭い方は上で、泡だてないようにゆっくりと!
ワッシャーを乗せて、さらにカラー(85〜93年式のみ)など、フォーク内部にパーツを入れていく。
アンダーブラケット内部は雨などで払拭しやすい。もしサビなどが見られたら、ペーパーなどで取り除こう。
フロントフォークを挿入! もちろん、突き出し量はゼロだ!!
足周りパーツには必ずトルクレンチを使用しよう。ちなみにアンダーブラケットは17N・m。他の箇所については説明書にきちんと載っているのでご安心を!
ホイールを装着すれば作業は終了!
もともとローダウンしていたのでシルエットはさほど変わらない(それでも前回よりもさらに1.5cmダウン)が、フロントフォークが突き出していないので、シンプルなハンドル周りがさらにスッキリしたのはオーナーとして嬉しい限り。
トップブリッジがスッキリしつつ、それでいてフロントは3cmもローダウンできた。言われなければ気づかないポイントだけど、そういうところにこだわるのが「良いカスタム」だと、僕は思うのだ。
さて、気になる乗り心地については、近日中にインレプッションをお届けする予定! 乞うご期待!!