取材協力 : カスタムハウス スティンキー
写真 : 井上 演
文 : 佐賀山敏行
※2019年1月30日の記事を再編集しました。
オーナーの個性やアイデンティティーを愛車に注入する行為がカスタムの最大の醍醐味。だからこそ、一台一台のカスタムバイクが違っていて当然だし、中には個性を重視するあまり、一点豪華主義とばかりにバランスやデザインが破綻してしまったマシンを見ることも珍しくない。もちろん、それはそれで“カスタム”としては決して悪くはないのだが……。
さて、ご存知スティンキーが製作したこのカフェレーサーは、外装はもとより、フレームやスイングアームまで真っ赤に染まった車体が印象的。なんでも「現在50代のオーナーが30代のころ、自身が若い頃から大切に所有しているイタリアの真っ赤な小さい車と並べて楽しむために製作した一台」なんだとか。なるほど、その佇まいは、まさに往年のイタリアンカフェレーサー。真紅の車体とグレーのエンジンやドラムブレーキのコントラストが絶妙で、低く垂れたセパレートハンドルやパイプワークが美しいヘッドライトステーなど……車体のすべてに手が入っているにも関わらず、決して奇をてらうことなく、まるでファクトリーメイドかと思わせるバランスと、それでいて決して量産品にはない存在感がみごとに両立しているのだ。
イタリアンモービルへの深い愛情……普遍的な美しさを見せるこの一台からは、そんなオーナーのアイデンティティーをしっかりと感じ取ることができる。
ニュートン製ヘッドライトをオリジナル・バードゲージライトステーIIでマウント。上品な顔周りを演出する。
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トップブリッジも同店オリジナル。クラシカルかつ手作り感溢れる「砂型」が特徴だ。
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フロント周りの剛性を高めるとともにドレスアップも期待できる「クラシカルスタビライザー(アルミフェンダー付き)」を装着。もちろんカラーはイタリアンレッドにペイント済み。
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フロントブレーキは純正ドラムながらも、グレーにペイントすることでイメージを一新。さらに走行風を取り入れる吸入ダクトを装備することで、レーシーなイメージを高めている。ホイールは前後ともH型を採用。
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絶妙なアールがなんとも言えない艶かしさを持つアルミタンクは、当然ながら同店オリジナル。タンクサイドのロゴがなんとも誇らしげだ。
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シングルシートType1はオールレザー仕様となっていて、マシンの高級感をアップさせるのに一役買っている。
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マフラーはスーパートラップ。CRφ38キャブレターと相まって、シングルスポーツらしい軽やかな吹け上がりが期待できる。
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大きく後退したバックステップはBRS製。リアサスペンションはプログレッシブをチョイスする。
エキゾーストマフラー:ホワイトブロス製スーパートラップ EX set/キャブレター:CRφ38/ヘッドライト:ニュートン/ヘッドライトステー:オリジナル バードケージライトステーII/テールランプ:K&H/ウインカー:CB72タイプ/電装ボックス:ペイトンプレイス/トップブリッジ:オリジナル砂型/ミラー:ハルシオン/スピードメーター:デイトナ/シート:オリジナル シングルシートType1(オールレザー仕様)/ステップ:BRS/フューエルタンク:オリジナル アルミタンク/フロントフェンダー:オリジナル クラシカルスタビライザー(アルミフェンダー付き)/リアフェンダー:WM/リアサスペンション:プログレッシブ/Fホイール:エキセル H型アルミ(1.85-18)/Rホイール:エキセル H型アルミ(2.15-18) ……etc.