取材協力:ウェッジモーターサイクル
写真:井上 演 文:佐賀山敏行
※2020年12月7日の記事を再編集しました。
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2020年はまさに新型コロナウイルスではじまり、新型コロナウイルスで終わろうとしている。毎年12月の風物詩である横浜ホットロッドカスタムショーも初の中止となり、カスタムファンにはなんとも寂しい年末になってしまった。
そこで……というわけではないが、ちょうど2年前の2018年にカスタムファンを賑わせた1台を紹介しょう。
ベースとなったのはBMWのちょい古モデル・R100RS。純正では大きなカウルとコンパクトなライディングポジションが特徴の高速ツアラーなのだが、東京都八王子市に拠点を置くウェッジは、それをみごとなストリートトラッカーへと昇華させた。
もともとシンプルなフレーム周りは純正を活かしつつ、シートフレームをワンオフ。外装も極力シンプルにすることで、エンジンの存在を際立たせることに成功。BMWの特異なエンジンをアピールしながらも、決して車体バランスが崩れることはなく、むしろクラシカルで重厚な雰囲気とストリートの軽快さを両立させている点がさすがウェッジといったところか。
シンプルかつ巨大なエンジンが目立っているが、じつはここにも一工夫施されている点も見逃せない。このモデルではエンジン後方のエアクリーナー周りもエンジン本体と同じように四角く造形されているが、じつはこの部分はウェッジによる加工。純正では黒い樹脂製ボックスが配置されているのを、わざわざエンジンと一体化させるようにデザインし直したのである。
これによってマシンのシンプルさや軽快感などは大きく向上。鈍重にみられがちなR100RSに、新たな魅力を与えている。これぞ、カスタムの醍醐味といえよう。