取材協力:ナインゲート
写真:編集部 文:佐賀山敏行
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SR400のエンジンにオリジナルのフェザーベッドフレームを搭載したBSA-SR。当時、日本で発売され、YAMAHA SRとは全く異なるシルエットに直立したエンジン、そして独特の乗り味は多くのライダーを魅了した。
このマシンのオーナーがBSA-SRに出会ったのは高校生のころ……当時88万円というプライスは到底手が届くものではなく、雑誌を見ては、自身が乗っている姿を思い描いていたそうだ。
それから約20年、ある日バイクショップで中古車として売られているBSA-SRを発見。家族に相談することなく衝動買いしてしまったという(その後、禁煙を条件に奥さんからOKをいただいたそう)。
さて、晴れて憧れのマシンのオーナーとなったわけだが、もはや旧車の仲間入りといってもおかしくはないBSA-SR……何のトラブルもなく乗れるわけもなく、あちらこちらに手がかかる。そこで駆け込んだのがナインゲート、である。
目指したのはフルカスタムではなく、気を張らずにつきあえるマシン。
BSA-SRらしさを十分に残し、いつでも乗りたいときに乗れて、いつでも行きたいとこまで走っていける……不安を覚えることなく、オーナーが安心してつきあえるマシン、である。
オリジナルにはこだわらず、振動によるクラックなど、純正のウィークポイントを徹底的に潰していき、それでいてオーナーこだわりのカスタムパーツを装着したという。
そうして完成したのがこのマシンだ。チャックボックス製エースバーやルーカスヘッドライトケース、デイトナ製ビンテージメーターなど、ツボを押さえたパーツチョイスが光る1台となっている。
カスタムは目的ではなく、あくまでもオーナーが乗り続けるための手段……カスタムがあるべき本来の姿が、このマシンからは見て取ることができる。