取材協力:ロイヤルエンフィールド 東京ショールーム
写真:井上 演 文:佐賀山敏行
全国に正規ディーラーを設置し、その注目度をおおいに高めているのが、インドのメーカー『ロイヤルエンフィールド』だ。もともとはイギリス発祥のメーカーだが、本国で倒産後もインドの生産工場とブランドは残り……なんていう同社の歴史はここでは割愛するが、とにかく、昨今のニューモデルラッシュがすごい!
何がどうすごいかというと、世界的に環境への配慮が求められ、各メーカーがモデルの水冷化を進めているなか、ロイヤルエンフィールドのラインナップはすべて空冷エンジン! もちろん、すべて最新の環境規制はクリアしている。
SR400の国内販売が終了し、呆然としてSRファンは多いと思うが、ホンダGB350とともに、ロイヤルエンフィールドは今や最後の『空冷砦』と言うにふさわしいブランドなのである。
現在、ロイヤルエンフィールドには在庫限りの生産終了車も含めれば、6モデルがラインナップされている。そのなかでも今回は、フラッグシップともいうべきINT650を紹介したい。
INT650は、ダブルクレードルフレームにリア2本サス、空冷SOHC並列2気筒エンジンを採用したスタンダードかつトラディショナルなスタイリングを持つ1台。美しい空冷エンジンや丸みを帯びたフューエルタンク、左右2本出しマフラーなどは、SRをはじめとするクラシカルバイク好きのハートをがっちり掴むはず。
アップハンドルと大柄な車体によって、またがってみるとどっしりとした印象。重厚感があって、「ビッグバイクに乗っている!」という気にさせてくれる。
見た目はクラシカルだが、フレームやエンジンは新設計で、ブレーキは前後ディスク。タイヤにはピレリを採用するなど、不安なく現代的な走りが楽しめるのも高ポイントといえる。
排気量は648ccで、大型二輪免許が必要だが、SR400からのステップアップ(という言葉は僕は好きではないが)にも最適な1台だといえよう。
オーソドックスなスタイリングをそのまま楽しむもよし、カスタムベースとして自分好みに仕上げていくもよし。長く楽しめそうなマシンである。
スタンダードな丸型ヘッドライトを採用。ウインカーデザインもオーソドックスで、飾り気のないフロントビューとなっている。
アップタイプのハンドルバーにはハンドルブレースが装備される。メーターはシンプルなアナログ2眼タイプだ。
ホイールは前後とも18インチを採用。ディスクブレーキにはABSを装備し、安全性を高めている。
丸みを帯びたティアドロップタンクがINT650のスタイリングを美しく見せている。ちなみに撮影車両のカラーリングは『Baker Express』で、3つあるグレードのうち、中間グレードに当たる『Custom』である。
空冷SOHC並列2気筒エンジンをダブルクレードルフレームに搭載。大きく、丸みを帯びたクランクケースがクラシカルな印象を高めている。トランスミッションは6速で、スポーティーな走りにも対応する。
フラットなシートは表面にダイヤモンドステッチを入れることでカスタム感をアップ。真っ直ぐなシートレールが潔い!
テールライトはルーカスタイプを思わせるカスタム感の強いもの。グラブバーもマシンの雰囲気を盛り上げている。
マフラーは左右2本出し。跳ね上がったスタイリングとリザーバータンクを装備したリアサスがスポーティーイメージを高めている。
Royal Enfield INT650
【SPECIFICATIONS】全長×全幅×全高:2122×789×1165(mm)/シート高:804mm/燃料タンク容量:13.7L/重量:202kg/エンジン:空冷4ストロークSOHC4バルブ並列2気筒/排気量:648cc/最高出力:47hp/7150rpm/最大トルク:52Nm/5250rpm/トランスミッション:6速/タイヤサイズ:F 100/90-18・R 130/70-18/車体価格:77万6000円~
SRフリークとしては、500クラシックを推したいのだが、残念ながら生産終了。新車は販売店にある在庫限りとのことなので、気になる人は急ぐべし!