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2021.02.02

Orange boulevard/YAMAHA SR400 “Dustbin SR”/SR File.119

Orange boulevard/YAMAHA SR400 “Dustbin SR”/SR File.119

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取材協力:オレンジブルバード
写真:小川伸晃 文:佐賀山敏行

※2015年07月22日の記事を再編集しました。

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古のレーサーを思わせる“ダストビン”装着の意欲作!

先日おこなわれたSRミーティングin山中湖でもひときわギャラリーの視線を集めていたのが、オレンジブルバードによる1台。同店が移転して5周年を迎えるのを機に、その技術とセンスを集約して作り上げた意欲作である。

カウルがまだ一般的ではなかった50年ほど前、イギリス車やドイツ車などをベースとしたレーサーに装着されていたのが“ダストビンカウル”である。その特徴はこのSRを見てもらえれば分かるとおり、ライダーの全身を覆う巨大なもので、とにかく風圧からライダーを守ることが目的。整流効果などは当然計算されておらず(当時の技術として計算されていたとは思うが……)、実際のサーキット走行では横風によるトラブルなどで、登場から数年後には使用を禁止されたという。しかし性能云々はともかく、ルックスのインパクトは絶大! カフェレーサーにカスタムされることが多いSRだけに、このマシンにもよく似合っている。

ダストビンカウルはもともとレーサーに使用されていたものなので、オレンジブルバードでは当然ながらこのマシンを作るうえで、車体全体にもパフォーマンスアップを図っている。まず足周りを見てみると、スイングアームはオーバーレーシングでリアサスはオーリンズ、前後ホイールもリムを交換し、タイヤはAVONをチョイスする。さらにフロントブレーキはキャリパーをTOKICOに換装し、ディスクローターはブレンボ製鋳鉄ローター。性能はもちろんのこと、雰囲気も重視していることが分かるだろう。

エンジンはワイセコφ90ピストンやオリジナルクランクによってチューニング。排気量は534cc。カウルに隠れて見えづらいが、ビッグフィン加工を施している点にも注目したい。これはルックスと放熱効果の向上が期待できるディテールだ。

さらに外装に目を移すと、AJSタイプアルミタンクにシートはノートンマンクス、ブルックランズ製バックステップやWM製アルミ電装ケースなど、ブリティッシュカフェレーサーを強く意識したチョイスによって、ダストビンカウルとの時代設定を合わせるとともに、車体全体のバランスをみごとに整えている。

インパクトの強いカウルばかりに目を奪われがちではあるが、同店らしい細かな作り込みは流石。そして、古きを振り返りつつも新たなチャレンジとして変換する発想力にも脱帽だ。今季、もっとも注目に値する1台である。

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