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K&H 純正カウル対応ダブルシート Bステッチ
4万9000円(税抜/送料別)
標準仕様は4万5000円(税抜)。写真のモデルはセミオーダーでステッチカラー変更(サンド/+2000円)、タンデムベルト追加(+2000円)。
メーカーウェブサイトはこちら

沈んだ奥にコシがあり、シートの上に浮いている感じ? 「しっくりくる」とは、こういうことか!

K&Hのシートが良いものなのは、当然、僕は昔から知っていた。SRタイムズに限らず、これまで何度も雑誌などで紹介し、試乗したことも1度や2度ではない。しかし、これまで僕は同社製シートの購入を避けていた。何故か?

シートカウルを残しておきたかったから。

同社のシートが抜群によいのはわかっているけれど、エブサン号のカスタムにおいて、シートカウルはどうしても譲れない部分。しかし、K&Hのラインナップに純正カウル対応のシートは長らくなかったため、諦めていたのだ。

ところが今年に入って、ついに純正カウル対応ダブルシートはラインナップに加わったのである。これはもう、買うしかないでしょう!!

K&Hのシートはセミオーダーで表皮やステッチ、パイピングのカラー変更をはじめ、タンデムベルトの追加などをできるのが大きな魅力。

僕はステッチカラーを標準のブラックからサンドに変更。そしてタンデムベルトを追加した。これで見た目は完ぺきだ!

だがしかし、何度も言うがK&Hのシートは乗ってなんぼ。しかも長距離・長時間乗ってこそ、その真価を発揮する。実際、今回日帰り新潟ツーリングをおこなったのも【2割SP忠男・8割K&Hのため】のようなもの。

果たして、その乗り心地は?

まず、跨った瞬間に思うのが「意外なほどシートが沈み込まない」ということ。お尻が痛くならないシートと聞くと、柔らかく沈み込むスポンジを想像する人は多いと思う。しかし、同社のシートに採用するのは一体成型ウレタンを使用した高反撥スポンジ。お尻を置くと少し沈み、その奥にしっかりとしたコシのあるスポンジを感じるのだ。

そして、この「少し沈む」というのが絶妙。

着座部分のお尻部分をスポンジがしっかりとホールドしてくれる。それでいて必要以上に沈み込むことはないので、まさにシートの上に浮いている……だけどホールド感はしっかりあるという、なんとも不思議な座り心地。これは本当に、同社のシートでしか味わえない感覚といえるだろう。

また、シート高は純正より約10mm高くなっているのもポイントで、着座位置が高くなることで「膝の曲がりが緩くなり、乗車姿勢が立ち姿勢に近くなることで、お尻の荷重がステップへと移ります」(同社ウェブサイトより)。

これによって、さらにお尻への負担が軽減され、ステップ荷重による車体操作がしやすくなっている。実際、ワインディングではこれまで以上に曲がりやすくなっていることを実感した。

お尻が痛くならないことで評価される同社のシートだが、じつはライディングのしやすさも見逃せない魅力なのである。

また、シート高が上がっているということで、足つきに不安を覚える方もいるだろうが、それも心配無用。足を下ろす部分が細くなっていて、角も取られているため、足つき性は純正とほぼ同じ。むしろ、角がない分、スムーズに足を下ろせるように感じた。

それでも不安な人には、ローシートもラインナップされているので、そちらを検討するのも良いだろう。

話をスポンジに戻すが、この絶妙な沈み方と乗り心地の秘密は、その製法にある。

上の写真は同社のシートに実際に採用しているスポンジの断面アップ。スポンジは商品ごとに作られた「型」のなかで発泡させるため、内側と外側で気泡の大きさが異なる。これが、座りはじめに絶妙に沈み、奥でコシを感じる秘密なのだ。

同じ発泡ウレタンでも、「とりあえず大きな塊を発泡させて、シートごとに切って成型する」ような作り方では、この乗り心地は真似できない。

専用の型を使った発泡……これは数あるK&Hのこだわりのなかでも、最も重要なポイントのひとつだと言えるだろう。

さて、ここまで絶賛してみたが、これだけの距離(約500km/1日)を走れば、当然、気になる点も出てくる。

絶妙な座り心地を実現してはいるものの、やはりスポンジ自体は一般的なシートよりも硬いため、2時間ほどでお尻が痺れてくる。さらに時速●●●km付近から、内腿を中心に強烈な微振動に襲われるのだ。

ただし、これはK&H社長・上山さん曰く「はじめはスポンジにも慣らしが必要」とのこと。距離を走ることでスポンジがライダーの体型や体重に馴染み、程よい硬さになっていくのだそうだ。

ちなみにこのツーリングで、シートを変えてからの走行距離は約800km。「それはまだ乗りはじめみたいなものだから、もっとガンガン走ってみて!」と上山さん。

結局、シート交換後からこの記事を作成するまでに約3000kmを乗り続けた結果、今ではほとんど振動を感じることはなくなった。

乗れば乗るほど、自分に馴染んでいくシート……なんだか革ジャンみたいで嬉しい(笑)。

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