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特集
2018.12.31

インタビュー…2%ER 代表・山口隆史さん(前編)

インタビュー…2%ER 代表・山口隆史さん(前編)
山口隆史 2%ER代表 昭和52年生まれ
そのプロフィールについては……これからはじまるインタビューを読んでいただきたい!

SRをベースに、チョッパーやボバー、ときにはカフェレーサーと、あらゆるスタイルを自在に作り出す2%ER。その魅力はカスタムマシンにとどまらず、豪快な笑い声を発する同店オーナー・山口さんの人柄にもある。今回はそんな2%ERの山口さんのバイクとの出会いからプロへの道、そして2%ERのこれからまでを聞いた。
取材協力:ツーパーセンター
聞き手:佐賀山敏行(SRタイムズ編集部)

山口さんの青春時代……バイクとの出会いから、プロとしての道を選ぶまで

編集部・佐賀山(以下、編)ー山口さんといえば、定期的に自分用のバイクを製作したり、北海道へロングツーリングへ出かけたり……仕事だけでなく、プライベートでもしっかりバイクを楽しんでいるイメージがあります。そんな山口さんがバイクと出会ったのって、やっぱり早かったんですよね?

山口隆史さん(以下、山口)「そうですね。乗り始めたのは高校生の時。周りの友だちが乗り始めたので、高校に入ったら免許を取るというのが自然な流れでした。興味自体は中学生のときからありましたよ。ちょっとだけヤンチャでしたからね(笑)」

編ーはじめに買ったバイクは?

山口「ホンダのCD50ですね」

編ーやっぱり最初のバイクからカスタムはやってたんですか?

山口「それが中古のCD50を買ったんですけど、けっこう高かったんですよ。でも整備状態がすごく悪かった(苦笑)。それでお店に直してくれって持っていっても、お金だけ取られて直してくれなかったり……。仕方ないから、まずは自分で修理をはじめるという……」

編ーあらら。カスタムどころか、いきなり自分で修理からスタートなんですね。ちなみに、どんな症状だったんですか?

山口「えーっとね……当時はよくわからなかったんですけど、今思えばガソリンタンクに水がたくさん入ってたんでしょうね。キャブレターがオーバーホールされてない状態で、信号待ちで止まるし、アクセル開けても全然吹けへんし……」

編ーなかなかハードな車両を掴まされましたね(苦笑)。

山口「でしょー?(笑) それで『バイク屋っていうのは、なんて信用のできないものなんだろう』と。こっちは高校生でなけなしのお金で買ったわけじゃないですか」

編ーそうですよね。

山口「もう仕方ないから、これは自分でやるしかないな、と思ったわけです」

編ーじゃあ、自分でキャブレターをバラして?

山口「そうっす!」

編ーキャブOHの知識はあったんですか?

山口「ないです(笑)」

編ー笑 とりあえず、ネジをはずしていくみたいな?

山口「そうですね」

編ー直りました?

山口「今思えば、全然まともじゃないですけどね(笑) でも、一応動くようになって、1年くらい乗りましたよ。そこからカスタムをはじめました」

編ーどんなカスタムを?

山口「解体屋で古いかっこいいタンクとか見つけてきて、フレームにドリルで穴を開けて、ホームセンターで買ってきたステーでくっつえけたりとか(笑)」

編ーおー! ボルトオンじゃなくて、すでにもう現在の片鱗が(笑)。それは周りの友だちとかも含めて、みんなでワイワイやってたんですか?

山口「いや、そんなカスタムをやってたのは僕だけ(笑)」

2%ERにはお客さんのカスタム待ち車両や販売車両などが、SRを中心に数多く並ぶ。

編ーところで、山口さんていくつでしたっけ?

山口「41歳。昭和52年生まれですね」

編ーそれで高校生ということは……当時はレーサーレプリカブームにそろそろ陰りが見えてきて、ネイキッド人気がはじまるかなー? くらいですよね。

山口「そうですね。先輩も当時は暴走族か走り屋か……ふたつに分かれていましたね。だけど、なんか僕にはそういうのがダサいと思えたんですよ。僕の心には響かなかった」

編ーそれでCDのカスタムに走った?

山口「そう(笑)。解体屋で買ったタンクをつけてみたりとか。スタイルはクラシカルな感じにしてました」

編ー写真はありますか?

山口「それがないんですよー!」

編ーそれは残念。

山口「たぶん今見てもかっこいいと思えるようなカスタムに仕上がってましたよ。でも結局イジり壊したんですけどね(苦笑)。僕の勉強材料になって消えていきました(笑)」

編ー何をやっちゃったんですか?

山口「よくわかってないのに、エンジンに何故か興味を持って、バラしてみたら組めなくなったという(笑)。アホでしょ?」

編ーいやいや、バラそうと思うのが凄いですよ。僕なんて、未だに自分でバラそうとなんて思わないですもん(笑)。で、次は?

山口「高3のときに、先輩からビラーゴ250を買いました」

編ーもちろんカスタムは?

山口「やりましたよ! 最初、譲ってもらったときにリアフェンダーがなくてナンバーがつけられへんかったら、ずっとそのままで乗ってたんですよ。そしたらお巡りさんに怒られて(笑)。それで仕方ないから、つくかつかへんかわからんハーレーのフェンダーを買ってきて、それをエーモンステーでつけました」

編ーそれで真面目にナンバーもつけて?

山口「そうそう(笑)」

編ー当時はアメリカンブームがはじまったあたり?

山口「そうですね。スティードの新車が出たくらいですかね」

編ーそうですよね。僕は当時大学生で、友だちがスティードに乗ってましたもん。マルボロマンカスタムで!」

山口「あぁ、一世を風靡しましたよね」

編ー超乗りづらいんですよね(笑)。ロングフォークでネックを寝かして、リアはリジッドバーで。『これ、まっすぐ走らへんやん!」って、びっくりしましたもん(笑)。

山口「あれはたしかに危ない(笑)」

学生の頃には無茶なカスタムもしたという山口さん。今ではキャリア20年以上。プロの技術で多くのお客さんにバイクのある生活を提供している。

編ービラーゴもそんな感じにしたんですか?

山口「いや、この時からもう人と違うことしかしたくないというのがあって、セパハンにしてみたり……当時はアメリカンにセパハンなんて誰もいなかったですからね。それこそマルボロマンカスタムみたいに、みんなアメリカンといえばフロントを伸ばしてたから、僕は逆にローダウンしたり、全然違うことをやってましたね。他に解体屋で適当なマフラーをちぎって、近所の鉄工所に持っていって『こういう風に溶接してくれ』とか言ってマフラーをワンオフで作ってもらったり」

編ーへー!

山口「解体屋のゴミ山に落ちてる4気筒のパイプをサンダーで角度合わせて切って、テープで張って鉄工所に持っていくんですよ。もう、やってることがアホでしょ?(笑)」

編ー鉄工所も付き合ってくれるんですね?

山口「イヤイヤながら、すごい呆れ顔でね(笑)。この近所にあって、ついこの前までやってたんですけどね」

編ーじゃあ、ビラーゴはノーマルの面影がないくらいカスタムをされたってことですか?

山口「もう何かわからんようになるくらいやりましたね。僕はたぶん、生まれ持ってのひねくれ者なんですよね」

編ーあははは(笑)。ひねくれ者っていうのは、小さい頃から?

山口「そうですね。はみ出し者やって言われたこともあったし、中学の先生にも……僕は不良やったつもりはないんですど、『この中学でお前が一番悪い』と言われたり。でも僕は普通にしてたつもりなんですよ(笑)」

編ー……なんかわかる気がする(笑)。じゃあ、物作りは小さい頃から好きだったんですか? ビルダーさんには小さい頃からプラモデルが好きだったり、ラジオを分解していたなんていう方がけっこう多い印象なんですけど。

山口「いや、僕はプラモデルは大嫌いでしたね。ただ、バイクをイジり続けるようになったのは……大学のときに友だちとツーリングに行ったら、前を走る友だちのバイクからマフラーが落ちてきたりとか、いきなりロックして止まったり、あとはハンドルが折れたりとか……そういうトラブルがしょっちゅうあったから、『これはちゃんとしなアカンのちゃうか』と思ったのがひとつですね。それで当時、実家の近くにチャックボックスがあって、バッテリーとか純正部品だけ買いに行ってたんですよ。『この店、なんかちょこちょことカスタムやってんなー……」って、ずっと思いながら(笑)。それである日、大学2回生のときかな……バッテリーを買いに行ったら、藤居さん(チャックボックス代表)の作業が面白くて1日中見てたんですよ。そしたら藤居さんに『お前、そんなに好きなんやったら手伝いに来い』って言われて」

編ーおー、それでチャックボックス時代がはじまるわけですね!

山口「そうですね。それまではカスタムといえばドリルとサンダー、エーモンステーですべて解決して、あとは鉄工所のおっさんに無理やり溶接してもらうというだけやったんですけど、藤居さんの作業を見てたら、『真面目に修行すれば、自分でもできるんじゃないか』と思ってたところでもあったので。それで、ちゃんとできるようになるなら、やってみたいなと思ったんです。本当に当時は危険きわまりない状況でしたからね(笑)。前のやつがマフラー落としたときなんか、それを踏んでコケましたからね(笑)」

編ーそれは危ない(苦笑)。じゃ、そこからチャックボックスでバイトをはじめた?

山口「はじめは丁稚奉公ですね。大学卒業するまでの2年半、タダ働き。だけど卒業するころには、けっこう僕もすごかったですよ。ゼッケンタイプのライトステーとか、ゼロから全部自分で作れるようになってましたからね」

編ーおぉ、それはたしかに凄い!

山口「それで大学卒業の時にどうしようかな? と思ってたら、藤居さんに『うちで働け』って言ってもらえて、そこからですね」

編ーいよいよプロとしての生活がスタートしたわけですね!

近年ではボルトオンのオリジナル・ハードテールに注力。意外なほどの乗りやすさが好評で、そのこだわりについては、後編で紹介したい。

後編はコチラへ→https://mototimes-web.com/twopercenter-b.html

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