旧いオートバイのエンジンを本格的に修理することになった。その場合にもどうしても「性能アップ」という方向でついつい考えてみたくなるのは、もうオートバイ乗りの性(サガ)といってもいいようなことで、実を言うとiB井上自身もそういうことがまったく脳裏をかすめることがないのかと言われれれば、それはやっぱりあるんです。
せっかく手間をかけてエンジンを分解・組み立てまでするんだったら、この機会にちょっとパワーが出るように、オートバイが速くなるような工夫もしてみようかな。やっぱりそうは思いますよね。
でも、そのときに自分にとって一番の懸念は、そのことがオートバイの耐久性にとってどうなのか、ということなんです。自分の場合はそのことを考えると、よほど信頼できるチューナーさんにでもお金をかけて依頼するのでなければ、やっぱりやめておいた方がいいかな、という結論に達する場合がほとんどです。
少しばかり速くなったとしても壊れやすくなってしまったのでは、愉しめませんからね。
もし、みなさんが例えばオークションでSRを購入しよう、と考えた時に、だれか知らないシロートが下手に改造したSRなんて、買いたいと思いますか? 仮にバイクがパワーが出るようにはなっていたとしても、いったいどのようないじり方がされているか本当のところなかなかわかるものではないし、不安の方が大きいですよね。結局そういうバイクにはオークションで高い値がつくことはあまりないようです。やはり、純正で改造されていないものを選びたくなるのは当然だろうと思います。
つまりそのような改造はたくさんのお金と手間をかけて、オートバイの価値を落とすことになってしまいます。
これはつまらない。いくら自己満足の世界と言っても、報われないやりかたですよね。
それに、ある意味旧いバイクが遅いことはけして悪いことではありません。だって、速いオートバイが欲しいなら、旧いオートバイを改造などするより、新しいオートバイを買った方がほよど安くて間違いなく良いものが手に入るわけですから。もっと別な価値があるから旧いオートバイを僕らは選ぶんです。
オートバイの価値は速さではない、ということについては以前にもエッセイでお伝えしています。
特にSRのような場合にはよく当てはまる考え方だと思います。
https://mototimes-web.com/s160722.html
そのような速さではない価値を求めるiB (株)井上ボーリングが、旧いオートバイの速さ以外の価値についてアピールしていきたいと考えたのが、今回のiBの新キャンペーン”REINCARNATION”です。
このキャンペーンのフォトグラファーとしてThe SR Timesでもお馴染みの井上演(ヒロム)さんに力を借りることにしました。
先日銀座で行われたヒロムさんの写真展にお邪魔して感銘を受けたiB井上が持ちかけた「永遠の価値」というテーマに対してヒロムさんが返してくれた答えは「輪廻」でした。
正直意外すぎて一瞬考え込んでしまったのですが、お話を聞いていくうちに確かにそうだ!と思えてきました。
「輪廻」という言葉は古来からの仏教絵画にもある通りに「車輪が回る」イメージを伴っています。またiBが手がけたエンジン部品が旧いオートバイを現代に「生まれ変わらせる」という意味に捉えることもできます。
これを英語で言うと”REINCARNATION”ということになります。
モデルにはポールダンスを得意とし、フィジークの大会で優勝経験のあるモデルのiB Lady多井子さんを起用しています。彼女が動ける存在であり・Abilityが高いことが写真に力を与えていると思います。
そして出来上がったイメージがこちらの画像です。iBが想い描く世界に「何かが生まれ出てくる」ような力のある写真になっていると思います。
iBが提案するSR-ICBM®や、SR用ではありませんがLABYRI®(金属製ラビリンスシール)などの技術や製品はすべてこの永遠を目指すiBの哲学に忠実に従ったものになっています。
(一言申し添えますと、SR用斧型超軽量クランクもエンジンの回転数をあげて馬力を稼ごうということではなく、エンジンの「味付けを変える」ことと、その愉しさをご紹介することを目的として400ccに拘ってストロークも変えずに作られています。)
iBが今までに実施してきた
・プラトーホーニング
・ICBM®
・LABYRI®
・2ストスリーブ製作(IN/EXポート柱)
・再メッキ
・WPC+MOS2
などすべての技術・製品がオートバイのエンジンの耐久性を飛躍的に高めて、末長く良い状態でオートバイを愉しんでいただく、という目的を持っています。さらに創業時から66年間続けてきた内燃機加工の仕事自体がそもそもエンジンを永くよい状態に保つことを目指してきたものなんです。
まだまだ十分に知られていないこのことをもっと多くのかたに気づいて欲しい。
“REINCARNATION”のキャンペーンの目的はそこにあります。
“REINCARNATION”キャンペーン特設サイト
http://sotaros.juno.weblife.me/reincarnation/
今ヤフオクではその出品の売り言葉として、「これはiB(株)井上ボーリングで加工してあります。」と誇らしげに表記してあるものを見かけるようになってきました。
iBの技術がオートバイの価値を下げるのではなく、価値を上げるお役にたっていることが、このようなところからも感じとっていただけるのではないか思います。
父上が大事にされたオートバイをご子息が大事に乗り継いで行かれる。iBはそんな落ち着いた世界が訪れることを願っています。
“REINCARNATION”のキャンペーンを通じて、そんなiBの世界観をお伝えできればと願っています。
「エンジンで世界を笑顔に!」(株)井上ボーリング
ICBM®の技術はシリンダーに鋳鉄スリーブとは比較にならないほどの革命的な超長寿命を与えて、そのことで旧いエンジンに長く大事に乗り続けていただきたい・旧いバイクを大事にしていただきたい、ということなんです。iBが掲げている基本理念にしっかりと沿った新技術・新製品になっています。現在はあらゆるエンジンに対応できるようになりましたが、特にSR用には完成品キットも用意してご用命をお待ちしています。
SR-ICBM®のシリンダーはShop SR Timesでもお買い上げいただけますので、ぜひご検討いただければと思います。
iBの得意技術ICBM®が登録商標になりました!
[I]noue boring [C]ylinder [B]ore finishing [M]ethodの略です。
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協力:(株)井上ボーリング
著者プロフィール
(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業63年、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!