内燃機屋として仕事をしていても、耐久性を犠牲にして瞬間的な速さばかりを求めるような、「弄り壊す」ような仕事はやっていて楽しくありません。iBが力を入れているSR-ICBM™にしても、ノーマルスペックで仕上げる分には別に速くなんかなりません。そうではなくて、SR-ICBM™は永遠のような耐久性をエンジンに与えようとしているんです。
確かに20世紀半ばくらいまではエンジンの付いた乗り物が「速い」ということには、世界を制するほどの意味がありました。例えば世界最速の戦闘機が作れれば誰にも撃ち落とされることはない=無敵なわけですから、実際に軍事的に世界を制覇できるかもしれなかったのです。驚くことに第1次大戦の頃だと、空を飛ぶ飛行機よりもまだ地上を走る速度記録車の方が速かったんです。世界一速い乗り物はまだ地上を走っていました。そんな時に速いバイクを作ったり乗ったりすることには、それはそれは今では考えられないほどの価値があったのでしょう。人類最速になれるかもしれないのですから。
でも、21世紀のいま、地べたを走り回るバイクで速さを競って何になるでしょうか。頭の上には今この瞬間にも何千・何万の人たちがジェット機で、格安航空券で、時速1,000km以上で飛び回っている、というのに!(笑)
もう地上でバイクが他よりいくらか「速い」だけで価値があるとみなされるような世の中では、とっくになくなっているんです。(もちろんサーキットでの速さという価値は希少な例外です。でもそれは「スポーツの勝敗」という別な価値の話ですよね。)
少なくとも自分が乗るバイクにSRを選ぶような人にとっては、こんなことは言うまでもないことですよね。もっと別な価値をバイクに求めているからこそSRを選ぶんでしょう。僕はそこがSR乗りの方たちの素敵なところだと思います。
iBはお父上が愛したバイクをご子息が乗り継いでいかれるような、落ち着いた世の中が続いていくことを夢見ています。
バイクをカスタムし、愛情を注ぐことにも大きな意味があると思いますし、SRはそれにとても適したバイクですよね。カスタムではなくメンテナンスだけだとしても、自分でバイクに手を入れて、バイクを愛して一緒に暮らしていく。そのことにも深い意味と価値があると思います。iBはそのお役に立ちたい。
速さなどという刹那的な享楽ではなく、もっと違う価値をバイクに求めるSR乗りの方たち。
SRに求めるものは人によって様々でも、SRに乗る人たちには共通して、他の人たちとは一味違った価値を理解できる「深さ」のようなものがあるようだ……iBはそう感じています。
「エンジンで世界を笑顔に!」 iB (株)井上ボーリング
SRのあるライフスタイルの動画について先日The SR Timesさんで記事にしていただきました。
ぜひご覧になってみてください。
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協力:(株)井上ボーリング
著者プロフィール
(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業63年、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!
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