今を遡ること42年前の1978年の真冬、僕らはこの川のほとりにこもって大学4年目の最後の水上スキーシーズンの準備をしていました。ジャンプ台を作り、スラロームコースを入れ、マリーナの工場の2階に人が住めるような場所を作って合宿所にしました。
その頃、高度成長期の日本では河川の汚染が進んで他のゲレンデの環境は悪くなる一方でした。そこで、僕たちは新天地を求めてこの鹿島に水上スキーができる環境を整えたんです。大変な事業でしたが、こんなに愉しいことも他にはありませんでした。
大学に入学したとき、僕は自分の家業が内燃機屋だからエンジンのついたスポーツを課外活動に選んだわけではありません。本当に偶然に、強引に口説き落とされて入部を決めたクラブが体育会水上スキー部だったんです。でも、大学のスポーツ部で他にエンジンを使うクラブなんて、自動車部くらいしか思いつきませんよね。なんという運命だったのでしょうか。
そして、とことん打ち込んだ学生水上スキーを引退した後も、僕は後輩の面倒をみたり、自分がウェイクボードにハマったりして、そのうちには本業の内燃機屋の傍らウェイクボードショップを始めてしまったりもしました。それでこの鹿島には今に至るまで通い続けることになりました。
「すべての夏のほとんどの週末」をここ鹿島で過ごしてきたんです。
以前The SR Timesでも鹿島でのウェイクボードを取材したもらったことがあります。
URL
https://mototimes-web.com/s160818.html
https://mototimes-web.com/s160902.html
今回はウェイクボードはしませんでしたが、iB Ladyの二人多井子さんとあやさんをボートに乗せて川の上を走ってみました。エンジンのパワーがもたらす高速の移動。加速感。水の上を走る特別な疾走感。長い髪をとかす風。エンジンがふたりの心を踊らせます。
エンジンだけにできることですよね。モーターボートでのオープンエアの移動の快感はオートバイに乗っているのとも、とてもよく似ています。
長い間、そのようして僕はいつもエンジンを使ってこの川で過ごしてきました。時にはSRに乗ってここまできて、ボートに乗って一日を遊び尽くしました。
長く過ごしてきたこの川のほとりに立って、時に考えることがあります。エンジンがこの川にウォータースポーツという意味を与えている。鉄道のないこの地に来るにもエンジンは欠くことができない、、、、。
「エンジンは僕たちに何をくれるのか。」
エンジンは本当に多くのものを僕らに与えてくれます。僕の場合にはこの鹿島もエンジンがくれたものです。SRをはじめとするたくさんのバイク。クルマ。趣味。仲間。家族。それに仕事も。
考えてみれば僕に限っていえば、人生の全てはエンジンがくれたものだったと言えるのかもしれないと思ったんです。
それどころか、人はエンジンのついた建設機械で土地を切り開き、農耕機械で土地を耕し、船で遠洋から魚を穫って持ち帰り、世界の隅々まで収穫物や製品を届けています。現代の世界のどこを切りとってもエンジンなしには今の人類の生活は成り立ちません。
人はともすればそのことを忘れかけています。それは今のエンジンがあまりにもトラブルフリーになりすぎたせいでもあるし、都会生活が便利になりすぎたせいでもあるでしょう。
ところが、オートバイに乗る僕たちは、エンジンを体のすぐそばに感じて生きています。エンジンの上にまたがってそのまま走って行ってしまうのが、オートバイですよね。
僕たちオートバイ乗りは、人類を成り立たせているこのエンジンという機械を愛していて、そのエンジンの鼓動を感じていたい。エンジンが間違いなく確かに頼もしく動き続けていること、それを感じていたい。もしかしたら、だからこそオートバイに、中でもエンジンが個性を主張するSRに乗りたいと思っているのではないんでしょうか。
42年目の川の上で、僕が考えていたのははそんなことでした。
ICBM®の技術はシリンダーに鋳鉄スリーブとは比較にならないほどの革命的な超長寿命を与えて、そのことで旧いエンジンに長く大事に乗り続けていただきたい・旧いバイクを大事にしていただきたい、ということなんです。iBが掲げている基本理念にしっかりと沿った新技術・新製品になっています。現在はあらゆるエンジンに対応できるようになりましたが、特にSR用には完成品キットも用意してご用命をお待ちしています。
SR-ICBM®のシリンダーはShop SR Timesでもお買い上げいただけますので、ぜひご検討いただければと思います。
iBの得意技術ICBM®が登録商標になりました!
[I]noue boring [C]ylinder [B]ore finishing [M]ethodの略です。
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協力:(株)井上ボーリング
著者プロフィール
(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業63年、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!
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