取材協力:C.F.POSH
写真:編集部 文:佐賀山敏行
SRらしいスタイリングを残しつつ、70年代を強く意識したカスタムを施している僕の愛車・2014年式SR400“エブリデイ☆サンデー号”。スタイリングだけでなく、乗り味もより単気筒らしくするためにチューニングを施しているわけだが、それなりにこだわりがある。
一番大きなこだわりは「排気量は純正のまま」ということ。単気筒らしいドコドコ感というと、500クランクを入れたストロークアップが定番だが、エブサン号ではあえて399ccで、どこまで“味”を出せるかということにこだわっているのだ。
ちなみに399ccにこだわっているのは、僕のもう1台の愛車“Rural Racer”も同じこと。こちらは井上ボーリング製斧型軽量クランクにハイカムシャフト、CRキャブにスーパートラップの組み合わせで、どこまでも回るエンジンを目指しているが、排気量は399ccのままだ。
対してエブサン号はエンジンの中身は純正のままで、エキゾーストパイプをSP忠男製POWER BOXに換装。そしてラピッドバイクイージーによって燃調を変更している。
この2つのパーツによって、エブサン号(4型SR400)の弱点である低中速の落ち込みがかなり解消されているのだ。
はっきり言って、現状でも純正4型SR400と比べれば、低速トルクはかなりモリモリ! 単気筒らしい鼓動感を味わえるエンジンとなっている。だけど、人間というのはどこまでも欲深いもので(笑)、さらなる鼓動感・低速トルクを求めるものなのである!
そこで、いつもお世話になっているナインゲート・細井さんに相談をしてみると……良いパーツがありました。
それがC.F.POSHから発売されている『スーパーIGコイルキット』。
そう、C.F.POSHといえば『Racing CDI スーパーバトル』をはじめ、シリコンプラグコードやレーシングイグニッションコイルといった点火系パーツでおなじみだが、これまでラインナップになかった4型SR400……つまり、FIモデル用の点火パーツがついにラインナップに加わったのだ。
C.F.POSH スーパーIGコイルキット
2万8000円(税抜)
適合:YAMAHA SR400(2010~2017/RH03J)
スピードプロツイン Red 付
SR400といえば、2001年の3型でCDI点火を採用。C.F.POSHでも適合した『レーシングCDI』や『レーシングIGコイル」をリリースしていた。
しかし、近年では大排気量はもちろんのこと、小排気量車でもFI化が進み、同時に点火方式はCDIからトランジスタ式に変わっていった。SR400も例に漏れず、2010年のFI化とともにトランジスタ点火に変更している。
C.F.POSHとしては、そんな時流に合わせて適宜トランジスタ点火に適合したIGコイルをリリースしてきたのだが、この春、ついに4型SR400用のIGコイルが発売されたというわけなのだ。
C.F.POSH スーパーIGコイルキット
2万8000円(税抜)
適合:YAMAHA SR400(2010~2017/RH03J)
スピードプロツイン Black 付
そんなキットの中身は盛りだくさん!
①スピードプロツインシリコンプラグコード付スーパーIGコイルAssy
②専用パワーデバイス
③IGコイルモニタリングキャンセラー
④専用サブハーネス
⑤スーパーIGコイル取付ステー
⑥その他、プラグアダプターやネジセットなど
これを装着することで、スパーク電圧は純正比約80%UP(C.F.POSHによる測定)とのこと。スパーク電圧が大きく増加することで、エンジン出力やトルクの大幅なアップが期待できる。
ちなみに「キットを装着するのは大変そうだから、スーパーIGコイル単体だけでもいいんじゃない?」なんて思った方もいるかもしれないが、ECU破損の可能性があるので、絶対NG!! 必ずキットで装着しなければならないので、横着しないように!
さて、ナインゲートでエブサン号に『スーパーIGコイルキット』を装着してもらった僕は、意気揚々とプチツーリングに出発。奥多摩のワインディングを堪能し、帰りは中央道・上野原ICから都内へ戻るコースだ。
その結果は……明らかにトルク・パワーともに増し、まるで排気量を増したかのような印象。特に低速トルクの落ち込みを感じることがほぼなくなったことに感動した。
低速だけでなく、全体的にトルクが増したイメージで、ワインディングや街中では中速域を使って気持ちよく進むことができたし、高速道路ではパワーに余裕ができて快適な巡航が可能になった。
青:純正 赤:スーパーIGコイルセット
パワーチェックグラフを見ても、その効果は明らかだ。上のグラフは純正の4型SR400と純正SRにスーパーIGコイルセットを装着した車両(※エブサン号ではない)の出力とトルクを比較したもの。
出力・トルクともに全域で純正を上回っていることがわかる。
エブサン号はさらにラピッドバイクイージーとSP忠男POWER BOXを装着しているため、さらに高い数値を示すことが予想される。僕はSRに必要以上のパワーを求めていないが、実用域でのトルクやパワーが増すことは大歓迎だ。
そういう意味では、スーパーIGコイルの装着は大成功だったといえる。
ラピッドバイクイージーやPOWER BOXの効果も相まって、エブサン号は振動もそれなりに大きくなってしまった。しかし、これはこれで明らかにエンジンの爆発を感じることができ、単気筒としての魅力が増したように思えて心地よい。
エンジンの爆発はまずスパークプラグからはじまる……だからこそ、点火にこだわればバイクそのものが大きく変わるのだ。スーパーIGコイルはそんな当たり前だけど、つい忘れがちなことを思い出させてくれる良品といえるだろう。