取材協力:バイクガレーヂ スラクストン
基本的にノーマルルックを崩すつもりのない我がSRタイムズ号ですが、ナニゲにちょこちょことカスタムを進めています。言われないと全然気づかれないカスタムばかりなんですけど、今回もよっぽどSRが好きな人でないと気づかないポイントです。そう、フロントホイールを19インチにしました! しかも、あえてスポークのまま!!
1978年に登場したSR400/500は現行モデルのいまでも基本的なスタイリングを崩していない……いわば70年代ロードスポーツの雰囲気を色濃く残したモデル。当時はフロント19-リア18インチホイールを採用していたのは、よく知られているところ。ちなみに当時のロードスポーツモデルの多くが、SRと同じ19-18インチの組み合わせでした。いわば、これこそが70年代〜80年代のスタンダードだったわけですね。ところが、より軽快なハンドリングを得るべく、1985年にホイールサイズを前後とも18インチに変更しました。ちなみにこの時にフロントブレーキがディスクからよりクラシカルな雰囲気を高めるため、ドラムへと変更になったのです。ハンドリングを軽快かつスポーティにするべく18インチにしたのに、ブレーキはクラシカルなドラム……なんだかワケが分かりませんが、ま、そうなったのだから仕方がない。で、2001年よりフロントブレーキがディスクに戻ったり(初期型とは別物)したのですが、ホイールサイズ18インチはそのまま。吸気システムがF.I.となったいまも変わらず……という状況なのです。
今回、SRタイムズ号のフロントホイールを19インチに変更したのには、大きく3つの理由があります。
ひとつめは「スタイリング」。やっぱりなんだかんだ言って、バイクは見た目が命! 僕はもともとCB750FOURやZ250FTなどを所有していたことからもお分かりのとおり、70年代の「オートバイ感(ストバイ風)」溢れるモデルが大好きなのです。SRが好きなのも、乗り味や気軽さ、鼓動感もさることながら、やはり70年代から受け継がれる普遍的なスタイリングにあるのです。そして、そのスタイリングを完ぺきにするには、やはりフロント19インチが欠かせないのですよ!
ふたつめはやっぱり「乗り味」。18インチの軽快なハンドリングも楽しいのですが、SRタイムズ号は街乗りから長距離までをこなす、まさに「僕の足」。だからこそ、もうちょっとおおらかな乗り味やハンドリングで長距離クルーズを楽に……まさに大船のような感覚で乗りたいのです。そのためにも、19インチホイールは必須なのですね。
そしてみっつめは「Rural Racerとの差別化」。熱心な読者はご存知かと思いますが、僕はこのSRタイムズ号のほかにもう1台、M&M’sモーターサイクルでフルカスタムを施した1993年式SR400「Rural Racer」を所有しています。このモデルはエンジンと足周りは純正ながら、バッテリーレスで外装もトコトン軽量化したもので、もちろん吸気はキャブレターでフロントブレーキはドラム式。いわばSRタイムズ号とは対極にあるマシンです。しかし、対極にあるとはいっても同じ車種。そこで、できるだけこの2台はカスタムコンセプトにスタイリング、乗り味などを変えていきたいのです。で、アメリカンカフェレーサーであるRural Racerはやっぱり18インチホイールで軽快なままにしておきたいので、SRタイムズ号を19インチにしよう、と思った次第なのです。
今回、僕がオーダーしたのは純正と同じDIDの19インチリム。Hリムは旧車感・高級感が出て良いのだけれど、前後とも変えなきゃならない。だけど残念ながらそんなお金はない(泣)。それにSRタイムズ号はもともとあまりカスタム感は出したくないと思っていた。そこで今回のチョイスと相成ったというわけです。
「DIDのリムは下手するとオーダーしてから1年掛かるときがある」と言われたので、代金の都合もつかないまま、「とりあえず!」とスラクストンにオーダーしたのが昨年の11月ごろ。結果、リムが完成したのが半年後くらいだから、うーん、早いのか遅いのか……よく分かりません(笑)。
ともかく、先日スラクストンで交換をしてもらったので、その模様を紹介します。 /SAGAYAN
これが交換前……まあ、何の変哲もないノーマル18インチホイールです。
フロントホイールを外します。まずはキャリパーから。
ブレーキキャリパーにメーターホース、アクスルシャフトを取り外すと、フロントホイールが取り出せます。
作業はおなじみ、バイクガレーヂ スラクストンのメカニック・長瀬さん。
じゃ、ホイールを交換……とはいきません。今回は純正ハブとブレーキローターを再使用します。
というわけで、ブレーキローターを取り外します。
ハブを取り出すためにはスポークを抜く。スポークを抜くためにはタイヤを取り外す必要があります。
タイヤを取り外すと、リムの裏側にスポークを留めるプラスのネジ頭が現れるので、すべて取り外します。
スポークをすべて取り外したら、ハブを取り出すことができました!
まだ走行8,000km弱なので、綺麗です!!
綺麗だけど、さらに綺麗にしてくれます。
19インチリムの登場! 純正18インチと比べると、その違いは歴然!
たかが1インチ、されど1インチです。
スポークはドラッグスター400純正を流用。
ちょっと太かったようで、リムの穴をちょっと大きく加工する必要がありました。
ドラッグスター400純正スポークをハブにセットしていきます。
リムをセット。ちょっとしたパズルです(笑)。
スポークをすべて仮止めしたら、写真のようにセット。
これからバランスを見ます。
スポーク間の距離を測ったり、ぐるぐる回してみたり……ここから地味で長い作業が続きます。
バランスを見つつ、スポークを緩めたり締めたり。
実際にバイクにセットして、バランスを見たり、ぐるぐる回したり、スポークを緩めたり締めたり。
バランスが狂っていたら一大事。慎重に作業を進めてくれています。
僕は半分寝そうになってしまいいましたが、長瀬さんはもちろん真剣!さすがプロなのです。
フロントホイール完成! 続いてタイヤをセットします。
今回、リアタイヤはほとんど減っていなかったのでそのまま。
そのため、フロントは銘柄を合わせたかったので、チョイスしたのはメッツラー・パーフェクトME11フロント(左)。※純正はパーフェクトME77(右)
純正よりさらにビンテージ感がアップして良い感じ!
フロントフェンダーも純正19インチ用に交換。
意外と高い純正フェンダー……今回はお店にあった中古を購入!
ディスクローターを取り付ける。
ホイールを装着!
意外と忘れがちなのがメーターケーブル。しっかりゴムパーツに通しましょう!
ブレーキキャリパーを装着!
最後の仕上げ! アクスルシャフトを締め上げる!!
フロントホイールを大径化したことによって光軸がズレる。忘れずに調整!
これで作業は終了! どうですか? ひとまわり大きくなったフロントホイールによって、70年代な雰囲気が一層増したでしょ!?
グリーンティーのシートも良い感じだし、バッチリですな!
存在感2倍増し!
実際、跨った状態でフロントホイールを覗き込むと、めちゃくちゃデカくなった気がします。
メッツラー・ME11も雰囲気を高めてくれてますね!
愛車の雰囲気作りにホイールは重要だけど、タイヤはもっと重要だったりします。
ルックスが大きく変わった我がSRタイムズ号(実際は自分から言わないとあまり気づかれない・苦笑)。気になるのは乗り味です。
当然、19インチのバイクにはこれまで何度も乗ったことがあるし、純正19インチキャストホイールを履いたSR500を所有したこともあります。だけど、そうは言っても、やっぱり自分の愛車が18インチから19インチに変わったのです……いったいどんなものか、やっぱり乗ってみないと分からない。
というわけで走らせてみると、フロントがひとまわり大きくなったことで、コーナーを機敏に曲がっていく軽快なハンドリングは鳴りを潜め、「よっこらしょっ!」と車体を意識して倒しながら曲がるような感覚に。400ccシングルから、もうワンランク上の排気量のバイクに乗っている気分です。フロントホイールが大きくなった分、リアに荷重が増えたのがはっきり分かるようになり、これまで以上にリアタイヤに乗っている感覚が増しました。現行車でいえば、W800に近いですね。
たかが1インチ、されど1インチ。この違いは面白い! SRに70年代の雰囲気を求めている人は、ぜひともチャレンジみてください。見た目以上の効果が得られますよ!!
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