取材協力:エムアンドエムズモーターサイクル
写真・文:佐賀山敏行
※2012年06月05日の記事を再編集しました。
70年代のダートシーンを彷彿とさせるスタイルを得意とするM&M’Sモーターサイクル。しかし、時にはオンロードを強く意識したカスタムマシンを製作することもあり、そうしたマシンもまた、同店がこれまで製作してきたマシンと同様に雰囲気のある佇まいを見せている。
ここに紹介する1台は、もともと前オーナーがM&M’Sモーターサイクルにカスタム製作を依頼したもので、そのスタイルはトラッカーであった。そこで現オーナーが新たにオーダーし直し、同店がリメイク。今回、『70年代 USサンデーレーサー』をモチーフに生まれ変わったのである。
同店を代表するカスタムパーツである”70’Sタンク”とワンオフTTシートカウルは、トラッカー時代から装着されていたものをそのまま使用。しかし、バックステップにセンターメーター、そしてタイヤはダンロップTT100GPを履くことで、そのイメージを大きく変えている。
また、ハンドルはあえてセパハンではなくドラッグバーを装着。無理のないポジションで「日常の足として乗りたい」という現オーナーの要望に応えつつ、さらにセパハンが作り出す攻撃的なイメージをハズすことで、このマシンが纏う独特のユルい雰囲気を演出しているのだ。
他にもデッドストックのスタビライザーやグリップ、さらにオリジナルバージョンのリアサスペンションなどを採用。ダートの雰囲気を完全に払拭し、軽快なアメリカン・カフェレーサーとしての佇まいを見せている。
しかし、完成したこのマシンから漂う匂いは、まぎれもなくM&M’Sモーターサイクルのもの……。同店が持つ確固としたセンスが、見事にロードスポーツカスタムに落とし込まれているのがよく分かる。