取材協力:平和モーターサイクル
写真:編集部 文:佐賀山敏行
※2014年7月13日の記事を再編集しました。
メーカーが莫大な開発費を掛けて発売したマシンに、オーナーやビルダーが自身の趣味趣向を色濃く反映させるのが“カスタム”というもの。しかし、その趣向性の強さゆえ、純正に比べ実用性を大きく損なってしまうことも少なくない。とくにチョッパーやボバーといったルックスを重視するカスタムスタイルで多く見られるのが、フューエルタンクの容量不足だ。
ここに紹介する1台も、平和モーターサイクルが得意とするスタイリングをSRに与えたものであるが、見ての通りフューエルタンクにはかなり小振りなものが搭載されている。心配されるのは後続距離……そして実用性である。
しかし、じつはこのマシンでフューエルタンクに見えるものはさに非ず、なんと電装ボックスとのこと。シート下に見える電装ボックスに見えるものこそ、本当のフューエルタンクなのである。これによって容量は必要にして十分なものが確保され、なおかつスタイリングの美しさもキープ。みごとなギミックだといえよう。
もちろん、シートレールの処理やシートの意匠、エキゾーストの取り回しにハンドルバーの美しさなど、他にも見どころはたっぷり。今や世界が注目する平和モーターサイクルならではの仕上がりとなっている。
いくら美しいカスタムマシンでも、やはりバイクは走ってこそ。ギミックに頼るのではなく、ギミックを利用した秀逸なオールドスクールカスタムだといえるだろう。