取材協力:ツーパーセンター
写真:編集部 文:佐賀山敏行
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オーナーやビルダーの個性を主張するカスタムマシンはときに、やたら派手なパーツやギミックに頼りきって、本来目指すべき「COOLなスタイリング」とは似ても似つかない姿になっているものも少なくない。
2%erが製作した1台は、そんな“ゲテモノ”とは対極を為すもの……派手なパーツを使わず、存在感をしっかりとアピールしたマシンである。
前後サスペンションをしっかり落とし、シートレールにもドロップ加工を施したフォルムは、ボバーをイメージしたもの。まるで古のストレートレーサーを現代に蘇らせたかのように、ペイントにはエイジング加工が施され、ビンテージ感が演出されている。しかし、もちろんこれは古くさく見せるための演出であり、下地からしっかり作り込んだもの。サビにみえるのもペイントだという。
フューエルタンクとフェンダーはコンセプトに合ったものを2%erの山口さんが5種類ずつ、ヘッドライトは数えきれないくらい、ほかにも部品をたくさん用意したなかから実際に車体にあてがってオーナーが好みのパーツを選んだ。そしてそれを山口さんがバランス良く組み上げたとのこと。もちろんチョイスの際には山口さんがプロならではの視点でアドバイスを送り、まとまり上げられた車体は絶妙なフォルムとなっている。決して突出したパーツはないが、1台のバイクとして最高のスタイリングを見せているのだ。
カスタムビルドの善し悪しはパーツの派手さで決まるものではない。当り前のことだが、カスタムを進めていく上でついつい忘れがちなことを思い出させてくれる。そんな秀作である。