思えば、超軽量斧型クランクをTypeIIにしてこのSRに組み込んでから、ちゃんとSRの乗るのは今日が初めてでした。
組み込み直後にほんとの試運転ではもちろん乗ってみました。低回転でよりも回転をあげたほうが加速がいい。よく回るエンジンになっていることは確認できていました。
でも、実際にどこかに出かけていくために乗るのと、性能のテストだけのために試運転するのとは、また印象が違うんですよね。
今回乗り始めは実はクランクのことなんか忘れていました。そのまま走って行って、広くて空いた道に出て加速をして行って改めて気づいたんです。
「あ、これ愉しい!」って。
低速のトルクは失われていないので、普通に走り始めただけでは以前との違いは感じません。でも、回転を上げて加速していくと、回転が上がった方がエンジンがキビキビと元気になってくるのが感じられます。回して走る方が加速がいいんです。
といっても違いはわずかなものですよ。2ストロークエンジンがパワーゾーンに入った時の弾けるような加速を期待されても、そんなことはできません。
でも、低回転のトルクを利用して加速する走り方と、高回転を維持して走っていく走り方とでは気分が全く違いますよね。どちらがスポーティーかといえば、それはもう間違いなく高回転キープで走るほうです。
この違いがわかる方に、ぜひ超軽量斧型クランクTypeIIを選んでいただきたいと思います。
もっともっとその感じを強く味わいたい方にはハイカムを組むこともお勧めしたいと思います。もしこのSRが趣味で乗っている自分のバイクだったら、自分もそうするだろうと思います。でも、この”SR ICBM® for VMX”はiBの超軽量斧型クランクとノーマルの違いを味わっていただくためのデモバイクなので、これはこのままにしておこうと思います。これはこれで十分に愉しめるし、ハイカムも入れてしまうと愉しいだろうけど、どこまでがクランクの効果でどこからがハイカムの
効果なのかがわからなくなってしまいますからね。
そんなことを考えながら走っているうちにSRは僕をこの川の土手まで連れてきてくれました。
正直言うと、こんな天気のいい小春日和の誰もいない土手の上なんてところまできてしまうと、上で書いたことなどどうでもよくなってしまいます。
エンジンの性格? そんなことどうでもいいじゃない。
そんなことより大事なことはSRがいつの間にか、僕をここまで連れてきてくれたっていうそのことですよ。
ですよね?
あ~あ、なんて気持ちがいいんだろう。こんな時間を持てるっていうことが、バイクを持つことの意味ですよね。
そんあふうに感じる僕は、たぶん今の400ccクランクのマイルドな良さを大事にしつつ、ICBM® と超軽量斧型クランクで気持ちよく回るエンジンを持ったこのSRに心から満足しているんだろう、と思います。
ICBM®の技術はシリンダーに鋳鉄スリーブとは比較にならないほどの革命的な超長寿命を与えて、そのことで旧いエンジンに長く大事に乗り続けていただきたい・旧いバイクを大事にしていただきたい、ということなんです。iBが掲げている基本理念にしっかりと沿った新技術・新製品になっています。現在はあらゆるエンジンに対応できるようになりましたが、特にSR用には完成品キットも用意してご用命をお待ちしています。
SR-ICBM®のシリンダーはShop SR Timesでもお買い上げいただけますので、ぜひご検討いただければと思います。
iBの得意技術ICBM®が登録商標になりました!
[I]noue boring [C]ylinder [B]ore finishing [M]ethodの略です。
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協力:(株)井上ボーリング
著者プロフィール
(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業6o年以上、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!
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