取材協力:ベリーバッズモーターサイクル
文:佐賀山敏行
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愛車にオーナーの個性や主張を反映させる「カスタム」という行為は、ときに行き過ぎることがある。たとえばここに紹介するカフェレーサーのオーナーは、過去に600ccオーバーのSRを所有しrたこともあるという。しかし今回、ベリーバッズにカスタムを依頼する際のオーダーは「エンジンはノーマルでいい」というもの。しかも、これだけの仕様変更をおこなっていながら、そのまま車検に通せるという、じつにジェントルなものなのだ。
その詳細を見ていくと、まず目にとまるのは、やはりフルカウルだろう。これは汎用のカウルをあてがったもので、当然ステー類は同店によるワンオフ。専用パーツでないものを、SRの車体に合うようにセッティングするため、「難儀でした……」とは、ビルダーの杉本さんの言葉。しかし、苦労の甲斐あって、そのフィッティングは絶妙のひとこと。一切の違和感なく取り付けられている。
特徴的なヘッドライトはLEDで、小さいながらも光量は十分で、ハイロー切替もできる車検対応とのこと。アルミタンクはアグスタタイプをチョイスし、曲線が美しいシートカウルとの相性も抜群である。ちなみにタンクとシートはもともとはボルトオンパーツなのだが、マウント位置を少し変えているとのこと。ビルダーのこだわりが垣間見えるポイントだ。
エンジンがノーマルとはいえ、やはりそのパフォーマンスにはワンパンチが欲しいところ。そこでこのマシンではマフラーをワンオフで製作し、吸気にFCRをチョイス。400のパワーを余すことなく引き出せるセットアップとなっている。
また、足周りに目をうつすと、フロントフォークにセリアーニを投入し、リヤサスペンションはYSS、さらに前後ホイールはワイズギアと、クラシカル感を重視しながらも、確実な性能アップを果たしている。また、JB製2ポットのフロントキャリパーにも要注目だ。
1978年、当時はライトウエイトのシングルスポーツとして登場したSR400……その妙味は純正エンジンでも十分に味わうことができるもの。ベリーバッズが製作したこの1台は、そんなSR400の良さを最大限に生かした良作といえるだろう。