※2017年10月7日の記事を再編集しました。
井上ボーリングといえば、SR用アルミメッキシリンダー「ICBM(Inoue boring Cylinder Bore finishing Method)」をリリースし、SRのエンジンに高い耐久性と放熱性をもたらし、「いつまでも愛車に乗り続けられる」……そんなSRフリークなら誰もが想うことを実現させてくれるメーカーだ。実際に「ICBM」は好評で、SRのみならずカワサキ・マッハシリーズやZなどの旧車オーナーからも支持を受けている。
SRも継続モデルを開発中とはいえ、現在は生産終了中。あらたにリリースされたとしても年々厳しくなる環境規制のなかで、いつまで発売されつづけるかもわからない状況である。そうなると今後、パーツ供給への不安も出てくるだろう。そんなときに半永久的な耐久性を持つ「ICBM」は、今以上に重要な意味を持つはずだ。
そして、僕の愛車「Rural Racer」は1993年式で、旧車とは言わずとも、かなり年季の入ったモデル。もともとワンオーナー車で、詳細な実走行は不明ながらも、おそらく40,000kmは走っているはず……。そろそろオーバーホールをしたいなぁ、なんて(ずーっと)思っているのだが、せっかく交換するなら「ICBM」を入れたいと考えていたのだ。そんなときに、今回の斧型軽量クランク・ニューリリースのニュースである。「せっかくエンジンを開けるのなら腰下までやって、500cc化もアリだなぁ~」なんて思っていたところに、である! 気にならないわけがないではないか!!
(編集部注:2021年1月現在、Rural Racerには斧型軽量クランクType2が装着されている)
当サイトのエッセイで井上社長が常々書かれていることには、僕も100%同感だ。これまでハイカムを入れた525ccや534ccというチューンドSRを所有してきた今の僕の愛車2台は、ともに純正400ccのまま。単気筒らしくトコトコと走り、ちょっとぶん回せばしっかりと車の流れもリードする。それで十分だし、笑顔で走ることができるのだ。
では、どうして僕はRural Racerのエンジンオーバーホール時に500cc化を検討しているのか? それは決して速くするためではなく、乗り味を変えるため。せっかくなら、もっと単気筒らしく、ロングストロークのドコドコ感を増した方が、乗った時の「笑顔」も増すと考えたのだ。
しかし、そこにきての斧型軽量クランク、である。同社・大澤さんの「500ccにするだけがSRのエンジンチューニングと認識されている現状を変えるべく……」という言葉がおおいに興味を湧き立てる。実際に僕は純正500を所有していたこともある。あの面白さをRural Racerにも投入したいと思ったのだが、400ccのままでチューニングを施し、また違う面白さを引き出せるなら、ぜひとも体感してみたい!
そこで、同社のデモマシン・SR-ICBM for VMXをお借りすることになったのである。
……と、ずいぶんと前置きが長くなってしまった。ちなみに井上ボーリングに実際にバイクを借りにいったのは、編集部員・浜瀬である。僕よりも先にSR-ICBM for VMXに乗った彼の感想は「面白いし、軽い!」というもの。本人の愛車「Cafe Racer HUMMER」のエンジンは純正400ccなのだが、それよりも断然アクセルが軽く、同じバイクとは思えないとのこと。ほほぉ〜、これは随分と楽しみだ。
というわけで、浜瀬が借りてきた翌日、実際に僕もSR-ICBM for VMXを走らせることとなった。向かう先は湘南地方。編集部がある東京都小平市からは、圏央道を使えば1時間半ほどで到着する。
まず、キックスタートは軽い。純正に比べて特段軽いというわけではないが、始動性は良い。小ぶりなリバースコーンタイプのサイレンサーからは小気味良く、元気なエキゾーストノートが響く。さて、スタートだ!