取材協力:カスカーダ
写真:編集部 文:佐賀山敏行
※2016年8月11日の記事を再編集しました。
―――
近年、新たにSRカスタムのジャンルとして注目を集めているのが「スラクランブラー」や「ビンテージモトクロス(VMX)」といったオフロードを強く意識したスタイル。カフェレーサーやチョッパー、ハイパフォーマンスといったオンロード寄りのカスタムが主流だったところ、新鮮さを感じて共感したライダーが多いようだ。しかし、熱心なSR乗りならご存知のはず……じつはSRのルーツはオフロードモデル! 1976年に発売されたXT500である。今回、福岡県のカスカーダに綺麗な初期型XT500が入庫したとのことで、その詳細を紹介しよう。
XT500の登場は1976年、オリジナルフレームに空冷4ストロークOHC2バルブ499ccエンジンを搭載し、本格的ビッグオフローダーとして注目を集めた。「SRは性能よりも乗り味やスタイリング」……なんてことも言われるが、XT500をベースにしたレーサーはパリダカールラリーで第1回と第2回で優勝。また、XT500のエンジンを搭載したレーサー「ロードボンバー」は1978年の鈴鹿8時間耐久レースで完走し、並み居るビッグバイクを相手に総合8位と大健闘した。それらのDNAを引き継ぐSRも当然、決して雰囲気だけのモデルではなく、乗り方やカスタムによって十分に高いパフォーマンスを発揮できることがわかるはず。そう、SRというモデルを本当に理解する上で、XT500というモデルを知ることは非常に重要なことなのだ。
現在注目を集めるスクランブラースタイルに高いオフロード性能を併せ持つXT500は、SRのルーツながらも、SRカスタムのひとつの終着点ともいえる。その佇まいは、SR乗りにはじつに神々しい。